土曜日, 6月 26, 2021

犬は見ている(5)

子犬たちがおっぱいを卒業してギャング団になった頃、疑問というか不安に思ったことがある。家畜たちの世話をする間、成犬たちには仕事を手伝ってもらったりブラブラしてもらったりするのだが、その間、子犬たちもフリーにさせていた。足元にジャレついてさぞ邪魔かと思いきや、子犬たちは成犬が相手にしないヤギやアルパカのゲート前に陣取り、気の毒な動物たちを睨みつけていた。邪魔にならないのはありがたいのだが何が不安だったかというと、毎日毎日見つめ続けているとそれに飽きたり満足してしまったりして、eyeが弱まってしまうんじゃないか?ということだ。

結果から言うとそれは杞憂だったようで、その兄弟たちは強いeyeを持った(ということは集中力や落ち着きも兼ね備えた)成犬に育っている。

思うに見つめている間、彼らの頭の中では凝視→期待→報酬のループが形成され、モチベーションが強化されこそすれ弱まることはなかったのだろう。内的な報酬がある行動に飽きや慣れを心配する必要はないし、逆に報酬ループを人為的に操作することも難しい。結局、集中力や忍耐力はトレーニングで強化するものではなく、せいぜいそれを妨げないようにするしかない、、、というのが、自分なりの結論である。

ちなみに「集中力+トレーニング」でググってみると、もちろん人間相手の話だけれど山のように記事が上がってくる。内容的には似通っていて、呼吸を整えたり、リラックスしたり、睡眠を十分取ったり、アロマテラピーしたり、栄養バランスを考えたり、ストレスを減らしたり、音楽を聞いたり、、、要は体調を整えて気を静めることくらいしか言ってない。筋肉を鍛えるのとはちょっと勝手が違う。この辺の事情は犬でも同じではないだろうか?

Eyeのモーターパタンは生得のもので、それ自体は人が作り出したり強化することはできない。できるとすれば幼年期に「十分発現させてやる」あるいは「発現を妨げない」ことだろう。あとは環境を整えてストレスを減らし、集中を妨げるものをできるだけ遠ざけるしかないのだ。

ただ一言に「環境を整える」と言ってもなかなかそうはいかないのが現実だ。とりあえず、最大のストレスである「人との関わり」を減らすことから始めるのがいいと思う。 

(一旦終了)


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