木曜日, 11月 30, 2017

テレビ壊れたし(3)

てな風にものを考えていると、この先、いくら解析的なアプローチを積み重ねても生命の実態に迫ることはできないんじゃないか、という気がしてくる。個人をいくら調べても、歴史や社会は見えてこないように。
ただ、私たちにとって「わかる」というのは、イコール「言葉に還元できる」ということであって、これは人類全体の叡智というよりは、西洋ローカルなドグマに過ぎない、ともいえる。
何か別の仕方で「わかる」ことができれば、案外すんなりと事は前進するのかもしれない。

いや、それとも・・・

もしかしたら今でも、私たちが何かとんでもなく大きな思い違いをしている可能性だってある。
例えば、生命というのは、ロボットを作るように複雑な仕組みを精緻に積み上げるのではなく、何か重要なポイントさえ押さえておけば、まぁ妥当なところに全体が落ち着いてくるような現象だったりするとか。
いや、さすがにこれはあまりに安直だけれど、まだ私たちの知らない重要な概念の2つや3つは、案外近くに転がっているような気もする。
この痒いところに後ろ肢が届かない感じを文章にするのは、本当に難しい・・・


ところで全然関係無いけど、TVといえばドクターXこと大門未知子が嫌い、ということは以前も書いた。

なぜって、単にあの仏頂面キャラがムカつく(米倉涼子は好きな役者さんだけど)というのもあるけど、一番ヤなのは、生命に対する畏れと敬意が感じられないところだ。
キメ台詞「私、失敗しないので」は、まぁ好意的に解釈すれば「絶対に患者を治すという決意の表明」なんだろうけど、一歩間違えば「失敗さえしなけりゃ何でも治せる」という思い上がりにつながる。
医学の権威には反抗するくせに、医学そのものは過信している。

何でそこに思い至らないかなぁ。
他の誰でもない医師こそが、医療の未熟や限界に自覚的であるべきちゃうん?
「手術が三度の飯より好き」って、ざけんなよっ、何でも切ったらええっちゅうもんやないやろ!!

すみません、興奮してしまって...
嫌なら観なきゃいーんだもんね。
ただ、いくら視聴率が稼げるからといって、「スーパー外科医」みたいな幻想を世の中に振りまくのだけは、もうヤメにしてほしい。
お願いしましたからね。

水曜日, 11月 29, 2017

テレビ壊れたし(2)

ちょうど今、NHKのドキュメンタリー「人体」シリーズが始まっていて、たまたま、第1,2回の「腎臓」と「脂肪と筋肉」を観た。

シリーズ全体を通じたテーマは、これまで中枢神経や心臓によってトップダウンにコントロールされると考えられてきた人体イメージを、各臓器が直接連携するネットワーク型で捉えなおすというもの。
例えば、「血中の酸素濃度が低下すると、腎臓がEPOという物質を出し、それが骨髄に作用して赤血球が増産される」みたいな仕組み。
脳や神経を介さず、臓器同士が「ダイレクト」に、「メッセージを交換」するところがミソ。
多くの臓器がネットワークに参加しており、同定されたメッセージ物質は数百種にも及んでいる。
その機構を解明し治療や創薬に応用することが、現代医学の最先端研究領域なんだそうだ。

この手の話に触れるたび、いつも2重の絶望感に見舞われる。
一つは、生命の仕組みがあまりに精妙なことによるものだが、もう一つは、私たち人類は一体いつまで新発見すればいいんだろう?という絶望だ。

人類はその歴史が始まって以来、かれこれ何千年も心身を研究してきて、相変わらず「驚異の新発見」に驚き続けている。このシンプルな事実にまず打ちのめされる。
研究が収束に向かっているならまだしも、むしろ謎は深まりつつある。この先、いつ「もう大体この辺でええやろ」的な状態になるのかわからないし、そもそもそんな境位が存在するのかどうかすらわからない。

今、急に宇宙人が訪ねて来て「あなた方の身体ってどうなってるんですか?」と聞いてきたら、どう答えたらいいんだろう?
「いや、その話はまた今度・・・」なんて口ごもってたら、実はイラチだった宇宙人に解剖されてしまうかもしれない。
心配のタネは尽きない。

仕組みの精妙さに対する絶望感も深い。
遺伝、代謝、免疫、老化、運動、知覚、、、どんなトピックを持ってきても、ちょー複雑だし、しかも気が遠くなるくらいうまくできている。

その複雑さゆえか、身体機能の説明には、「白血球が細菌を攻撃する」とか「悪玉コレステロールで血液がドロドロに」みたいな比喩的な表現がよく使われる。おかげで、私たちはとりあえず知った気になれるけれど、それが実際にはどんな現象なのかを理解しているわけではない。
「身体の設計情報は遺伝子に書き込まれている」ことは、今なら小学生でも知ってるが、じゃあ誰がどんな風に情報を読み取って、それがどう作用して必要なタンパク質が合成されるのか?と聞かれて、答えられる人はまずいないだろうし、そもそも、そこまできちんと解明されているんだろうか?

様々な性質の有機物が寄り集まってるだけなのに、何でこんなにうまく連携して機能しているのか?
別に正確じゃなくてもいいから、実感として生命の営みを把握してみたいと、一年に二回くらいは思う。

火曜日, 11月 28, 2017

テレビ壊れたし(1)

8年間苦楽を共にしたTVモニタが壊れた。
あと10年くらい働いてもらおうと思っていたのに、一月ほど前、画面の一番下にノイズラインが出るようになったかと思うと、それがちょっとずつ上に侵食してきて、最後にはちゃんと映ってる部分が5cmくらいになってしまった。
さすがに我慢できなくなって、ヤマダ電器に持っていった。

店員の回答は芳しくない。
7年の保証期間は超えてますねぇ、、、画像センサが壊れてます、、、修理はメインボードを取り替えるしかない、、、ざっと10万は覚悟してください、、、買い換えた方がお得かと、、、まぁTVの寿命は5,6年と思っといてください、、、みたいなことを、立て板に水のごとく説明される。
画像センサって何?とか、寿命が5,6年とか誰が決めたん!?とか、言い返したいことは山ほどあったが、ここでゴネて事態が好転するとも思えず、大人の態度で引き下がった。

たぶん原因は、どこか一箇所が断線したとか、ICチップが不調になったとか、ほんのちょっとしたことだ。でも、それを突き止めたり修理するようなシステムが、もうメーカには残っていないのだろう。
店員が言うように、ボードを丸ごと交換するしかないのかもしれない。

で、TVの話が広がるかというとそうでもない。
実は、こういうことがあるたびに生き物ってスゴいと思っていて、そっちの話を書きたかったわけです。

どこがスゴいかというと、例えば、キカイだと部品が1個壊れただけでダウンしたりするけれど、生き物は、一部(とゆーよりアチコチ)が具合悪くなっても、どうにか平衡を保って動き続けたりするところ。
懐の深さが全然違う。
部品と細胞を比べたら、前者の方が圧倒的に堅固なのに、全体で見ると生物の方が丈夫だったりする。
(壊れやすいことを前提にして)細胞は常にスクラップ&ビルドされていることや、欠陥が出ても他の細胞がカバーしたりするからだろう。
これを人工で実現するのは大変だ。
100年近くも機能し続けるロボットなんて人間には作れないし、作れそうな見込みも無い。