土曜日, 6月 30, 2018

分離不安

まだ幼かった頃、知らない場所や人混みで親の姿が見えなくなると、それまでの上機嫌がウソのように泣き喚いたものだ。

今でも記憶に残る、どこかのデパートの売り場。
プレゼントを買ってもらえるというので、有頂天になって駆け回っていて、親がいない!と気づいた瞬間に世界が暗転した。
わーわー泣いても周りの大人たちが知らん顔なのがまた怖くて、ますます大声で泣き叫んだ。
買ってもらったはずのプレゼントは思い出せないが、生まれて初めて店内放送のお世話になるという痛恨の失態とともに、売り場で感じた不安や無力感は、今でもハッキリ覚えている。

なぜそんな羽目に陥るかというと、調子こいて辺りに気を取られて、親の居場所確認をサボっていたからだ。逆にいうと、親に頼っていたせいで、アウェイな場所なのに油断できるくらい安心していた、とも言える。
「あんまり離れなさんな」という親の注意なんか、まるで耳に入っていなかった。
ま、子供なんてそんなもんだし、むしろそうやってすぐに油断できるから、いろんなものを吸収できるのだろう。

犬の問題行動とされるものの一つに分離不安というのがあるが、これなんか同じだと思う。
しつけやトレーニングをどうこう言うより、要は犬が幼いということじゃないかと。

ファームに来る犬たちの中にも、それまで機嫌良く敷地をブラついていたのに、飼い主がちょっと姿を消した途端、急に騒ぎ出す犬がいる。飼い主が消えたドアの前に陣取り、抗議するように、あるいは哀訴するかのように、脇目も振らず吠え続ける。
飼い主が戻ってくると、再会を喜んで甘えまくるかというと、そうでもなくて、すぅっと平静に戻ってまた辺りをフラフラしだす。
安心と不安、万能感と劣等感、高揚と抑うつなど、気分が極端から極端に振れやすいのが未成熟な心の特徴の一つだが、分離不安な犬というのは、まさにそういう心の状態にあるのだと思う。

犬を飼うという行為は、大なり小なり、相手に子犬(の役割)を求めることでもあるから、それが分離不安という形で現れるのかもしれない。
「問題行動」と仰々しくラベリングしてしまうのは、ちょっと気の毒な気がする。

ただ気になるのは、そうやって騒ぐ犬ほど、飼い主の呼びかけへの反応が鈍いように感じられることだ。
呼んでもなかなか寄ってこない、、、くらいだったらまだいい方で、飼い主の方を見たり、あるいは耳をピクリと動かしたりといった、僅かな応答すら返さない犬もいる。
これも、まぁ子供だからと苦笑いでやり過ごすこともアリだが、呼びが効かないというのは現実的な不都合が多い。それに、幼かろうが年寄りだろうが、呼びかけをスルーするという態度は、ちょっとヨロしくない気がする。これは何とかしたい。

以前テレビで、分離不安の対処法として、犬が陣取るドアの前に敷物を置いて、吠えたタイミングで思いっきり引っ張るという方法を紹介していた。
いわゆる天罰方式というやつだが、映像を観ていて、ええ、そんなあ!?とのけぞってしまった。
もちろん、それで鳴き止む犬もいるだろうけど(TVに出演した犬には見事に効いた)、例えば不安に陥っている子供に対して、いきなり足払いをかけてひっくり返すようなことをするだろうか?

手っ取り早い対処を求める気持ちはわかる。
特に集合住宅なんかで隣近所から苦情が、、、といった事情では、即効性のあるやり方に頼らざるを得ないだろう。
ただその場合でも(問題行動が収まったとしても)、成熟やコミュニケーションに関わる課題が残っていることは頭に留めておくべきだ。

いや、たとえ目に見える問題が無くても、私たち犬飼いは「飼い犬をどうしたら成熟させられるか?」ということに、もうちょっと心を砕くべきじゃないかと思っている。犬の成熟とは何か?それを促すにはどうするのがいいか?といったことについて、犬の個性や置かれた環境に照らし合わせ、各自が少しずつ考えるのである。「心の成長」みたいなワードを意識するだけでもいいかもしれない。

そうすれば、犬との関係性が変わる、、、ことはないかもしれないけれど、自分や人社会の未熟なところに気づくことはできる。

土曜日, 6月 09, 2018

ファームあるある怖い話

3日ほど前だったかな、倉庫の中でネズミが死んでいた。

まだ、なまなましかったから、たぶんシャッターを開けたときにどこかに挟まれたんだろう。
忙しかったから、申し訳ないけど埋めずにコンポストに捨てた。

で、今日、Hiroさんがゴミを捨てようとコンポストを開けると、、、
そのネズミがまだ動いていて、こちらを睨んでいた!、、、そうだ。

どんよりした梅雨空の今朝の話。