火曜日, 2月 01, 2011

ちっちゃい男

不覚にも猫と暮らす羽目になってしまった.
犬馬羊山羊鳥合わせて53匹を養うという,ふしだらで傲慢な生活をしながらも,猫は飼わないと固く心に決めてきたのに...

別に猫が嫌いな訳じゃない.
むしろその反対というか,,,でも好きとかそーゆーのとも違って,何というか,猫には「弱い」のだ.

世界三大愚問の一つに「あなたは犬派?それとも猫派?」というのがあるが,これがなぜ愚問かというと,そもそも犬と猫とでは比較にならないからだ.
次元が違う.
「日本経済と蟻とではどちらが強いですか?」と同じくらい無意味な質問だ.

人対犬であれば,お互いを個性や長短所を持った個体として認識し,その関係を客観視することができる.どんなに心奪われたとしても,例えば蜜月物語みたいに自らを戯画化することで,比較的容易に平常心を保つことができる.

猫はだめニャン.
彼らは本能的に人の心の弱ったところを探りあて,その辺りをつんつん突きながら,結局そこに居ついてしまう.
見た目は四足動物だが,実はスピリチュアルな寄生虫なのだ.
口から食物を採ってみせることもあるが,あれは人の目を欺く擬態だ.
そうやって宿主を油断させておいて,矜持とか誇りとかガマンとか毅然とした態度とか決断力とかケジメとか,,,とにかくその辺の稀少な気質を,少しずつ溶かして摂取している.

そして猫に憑かれた人は,ある日,何一つ生産的なことをせず1日を終えようとしている自分を発見する.
不思議なほど後悔の念はわかず,むしろ満ち足りた気持ちで己を肯定できるのだ.
それが自前の感情ではなく,猫の心象風景が紛れ込んだものとも知らずに.

この段階ですでに8割方は回復不能である.
ああ,おそろしい.
 

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