月曜日, 2月 27, 2017

強者と弱者

ポイントゲットのテクニックとしては、「話題を変える」とか「キレてみせる」とか「言葉尻をとらえる」とか、いくらでも考えられるけど、案外効果的なのが「笑わせる」ことだ。
笑いが起こった瞬間、仕掛けた側にはシテヤッタリ感があり、笑わされた方はちょっと悔しかったりする。
つまりポイントのやりとりが発生する。

このテクニックのアドバンテージは、一方的にポイントを加算していっても、場の空気や人間関係が悪くならないところにある。
テレビを賑わしているお笑い芸人たちは、これを駆使できるという意味で、実は圧倒的な強者じゃないかと、わりと最近気づいた。
彼らには、たとえ相手が一国の総理大臣だろうが大会社の社長だろうが、一対一の会話であればまず負けないくらいの自信があるにちがいない。

だから彼らは、本来のバラエティだけでなく、アウェイなはずの司会やインタビューでも、相手に臆するということがない。
その余裕は、制作サイドや視聴する側の安心感につながる。
お笑い芸人があらゆるジャンルの番組に進出できるのは、ここが大きいと思う。

そういえば先日、NHKで「洞窟おじさん」というドラマをやっていた。
中学の時に家出をし、そのまま40年を山奥の洞窟で暮らした男の「ほぼ実話」だ。

前半のサバイバルの場面は、わりと平常心で観ていられたのだが、後半、他人との葛藤によって少しずつ「人間らしく」なってくるあたりから、ぐいぐい引き込まれてしまった。(しかし、リリー・フランキーってホームレス役がほんとハマるなぁ)

ドラマを見ていると、普通の人が普通に交わす会話が、慣れない男にとってはヒリヒリするような緊張を伴う体験であることがわかる。
だから彼は、人里に降りては山奥に逃げ帰ることを繰り返すのだが、他者や死者との関わりを通じて、最終的には人の世で生きることを選択する。

嫌な思いをすることがわかっていても人と関わって生きるしかない、、、そう覚悟を決めたのだろうか?
この辺に、人間性の本質的な何かが表現されているようにも思える。

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