ヒツジ、ウマ、ヤギ解放同盟との闘争が激化している。
冬の間、動物たちをシャットアウトして、放牧地の一部を養生することにしている。敷地が充分広ければそんな小細工はいらないのだが、そうでもしないと全部が不毛の荒地になってしまうので。その甲斐あってか、養生地には柔らかそうな若草が生えて、青々とした感じになってきた。
同じ景色を家畜たちも見ている。
草はもちろんのこと木の葉や木肌まで食い尽くし、ヒヅメ攻撃で荒廃させた不毛の泥地から。
そして、こう思っているに違いない。
「こんなクソ地にオレらを閉じ込めやがって...」
いやいやいや、クソ地にしたのは君たちですから、というのは人間側の言い分であって、確かに可哀そうに思うことが無いことも無いのだが、だからといって今、養生地に放牧してやることはできない。
どーせ、アッという間に食い尽くすだけでしょ?君たちは。
というわけで、ここ数日は柵を挟んだ前線の緊張が極限まで高まっている。
昨日なんか、気がつけばヒツジ、ヤギの全員が養生地になだれ込んでいたり、ウマが畑に首を伸ばそうとして柵を曲げてしまったりと、領土を巡るギリギリの攻防が続いている。
シープドッグ隊のスクランブルも4回を数えた。
やるべきことはわかっている。
柵の補強だ。
いや、もう、何年もそう思ってるのだが、手間と費用を考えるとなかなか手が付けられず、ここまでズルズル来てしまったわけです。
どうやら、それも限界のようですね。
やるか、柵の補強...
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