来訪して気付かれた方もいるかもしれないが、ファームのフィールドにはあちこちに木の棒や竹が置いてある。
これで何をするかというと、羊のレイ君の頭突きに対抗するのである。
対抗といっても叩いたり突いたりするのではなくて、突進してくる顔の前にチラつかせて、集中を逸らすのである。(為念:動物愛護団体系の方)
これで、レイ君が鼻息荒く駆け込んできても、モロに喰らうのは避けられる。
ちなみに、羊の頭突きを体験された方がどれくらいいるか知らないが、これは痛い。
太ももに入ったりすると、肉離れみたいになる。
実は、突っ込んでくるときはまだ良い。
近くの棒を振り回したり、闘牛士みたいに寸前でかわしたり、たまには跳び箱みたいに飛び越えたりできるから。
ホントに怖いのは、羊の群に囲まれて奴を見失ったときである。
知らぬ間に脇に来ていて、そこから横殴りのフックをかましてくる。
助走無しのスタンディングパンチだが、これも威力十分で、思わず「はぅ」とか「へほ」といった「息が詰まる」系の呻き声を上げさせられる。
レイ君を交えてシープドッグ訓練をやるには、それなりの覚悟がいる。
彼がなぜ頭突きに固執するのか、その理由は誰にもわからない。
おそらく、彼自身にもよくわからないんじゃないだろうか?
ただ、群の中で彼が一番人懐っこいのは確かである。
もしかしたら、彼なりの(不器用な)愛情表現なのかもしれない。
大変な迷惑だ。
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